ドラゴンクエスト製作過程 そして王室は閉ざされた



『マンガ ドラゴンクエストへの道』より


いろんな人にモニターしてもらい、意見を聞く。
と、ここで、やっぱり思ったとおりの問題が発生した。
「なにをどうするゲームか、よくわからない」というのである。
この頃のバージョンは、スタート地点がお城と町の中間。フィールド上だったのが、そのまま城にも町にも目をくれず、ノコノコ歩きだして、怪物に会い、あっさり死んでしまう。ゲームオーバー。
再びスタートさせるが同じことの繰り返しで、五分でゲームを投げ出してしまった。


堀井雄二『虹色ディップスイッチ』 アスキー,1990年





中村(中村光一・プログラマー)「ぼくらはお城が近くにあるからすぐに中に入ると思ったんですけどねえ」
千田(千田幸信・プロデューサー)「われわれがそう決めつけていただけなんだ。このままだと『不親切なゲーム』ってことになるよ」
中村「スタートを城にしたらどうだろう? 一回のふん水の前あたりで」
堀井「同じだよ、すぐに城の外に出てゆくかも知れないし…」
千田「今のままじゃAボタンでコマンドウィンドウが出ることも知らないまま、十字ボタンだけどどこへでもいけてしまって、そしてしぬんだよ」
一同「ゲームの遊びかたを覚える前に城の外に出ていかれたら…」


『マンガ ドラゴンクエストへの道』 エニックス,1990年




中村(光一)の話。
「解決策は意外な案でした。自由にやらせてダメなら、閉じ込める。冒険を始める場所を王様の部屋にしてしまい、“はなす”“しらべる”“とびら”“かいだん”などのコマンドや装備のやり方を理解していないと部屋から出られないようにしてしまったのです。これでプレイヤーが勝手に冒険してすぐに死んでしまうのを防ぐことができた」


『ドラゴンクエスト25周年 産みの苦しみに悶絶した「製作者」の開発秘話』
週刊新潮2012年1月5・12日号




スタート地点は王様のまえ。まずゲーム目的が明確にされる。
そして、王の部屋にドアをつけ、ある程度コマンドの使用法を理解しない限り、そこを脱出できないようにしたのだ。
多分子供たちは、そこから出ようとして、ガムシャラになんでもやってみるだろう。そして脱出できたときは、コマンドの使用法がわかっているというわけ。


『虹色ディップスイッチ』








『週刊少年ジャンプ 1986年 16号』(1986年3月18日発売)より
開発中の画面写真





『ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III 特典お宝資料』より
堀井雄二直筆の仕様変更書





製品版(完成品)





(以下管理人)

まだRPGが一般的で無かった故に直面した有名なエピソードである。今となっては考えられないかもしれないが、RPG未経験だった当時の子供たちにしてみれば、城や街を素通りするのは当たり前の話。スーパーマリオのお城は、自分の操作では入ることができない、単なる背景に過ぎなかったのだから。

関連記事
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)