『広告批評』主宰者 天野祐吉が語るドラゴンクエスト



天野祐吉『広告も変わったねえ。』(2008年)

伊藤直樹氏(クリエティブディレクター。ハンゲーム等の広告等を手がけた)との対談
 (要約)


天野祐吉(あまの ゆうきち、1933年4月27日 - 2013年10月20日)。コラムニスト。東京都足立区出身。明治学院大学中退後、創元社、博報堂を経て、雑誌「広告批評」を創刊する。

氏は無類のゲーム好きであり、とりわけドラゴンクエストに関しては、IIIを発売後2週間で終わらせた(広告批評1988年3月号編集後記)ほど熱中したようである。この時、天野氏は54歳。戦前生まれのミドルエイジがファミコンに熱中する姿は格好良いよね。

天野氏の後年の対談集に、ドラゴンクエストおよび堀井雄二氏に関する著述を見つけたのでご紹介します。


広告批評 記事リンク


'87年7月 広告批評 特集ファミコン大研究 (1) 堀井雄二×糸井重里 対談 テレビゲームに何ができるか
http://dragonquestage.blog.fc2.com/blog-entry-9.html

'87年7月 広告批評 特集ファミコン大研究 (2) 鳥山明 すぎやまこういち 中村光一 インタビュー
http://dragonquestage.blog.fc2.com/blog-entry-10.html

'87年7月 広告批評 特集ファミコン大研究 (3) 高橋源一郎 鴻上尚史 いとうせいこう
http://dragonquestage.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

'88年3月 広告批評 堀井雄二インタビュー “もう一つの人生”の共同製作者です
http://dragonquestage.blog.fc2.com/blog-entry-12.html

『広告批評』主宰者 天野祐吉が語るドラゴンクエスト
http://dragonquestage.blog.fc2.com/blog-entry-13.html







天野 ぼくは(管理人注:ゲームが)大好きなんですよ(笑)。任天堂のファミコンが出たときから、延々とやりつづけているんです。最近はちょっとパワーが落ちて、やらなくなってきましたけど、ドラクエがブームになった頃なんて、毎晩徹夜でしたよ。ドラクエではいつも、主人公に「あまのん」って名前をつけるの。


それはさておき、ドラクエをしていてね、ずっと思っていたことがあるんですよ。あれは敵に負けて、ゲームオーバーになると「あまのんは死んでしまった」なんて表示されるでしょう。そのたびにひどくガッカリするんだな。これはぼくだけじゃないと思うけど。


なんでガッカリするかというと、ゲームで物語を疑似体験しているからだよね。もともと物語というものは、舞台の上や活字で表現されたものを、見たり読んだりするものだったはずなんです。それがいつのまにか、自分が主人公になって、物語を動かしている。自分で右へもいけるし、左へもいける。成功もできるし、失敗もできる。話を前に進めないことだってできるわけじゃないですか。要するに、ゲームの登場によって、物語を見たり聞いたりではなく、物語を「する」時代になったんだと思うんですよ。


ところが、ここでちょっと不思議なことが起こるんだね。なぜだか「する」ものをつくった人は、意外なほどに名前が表に出ないんです。ドラクエは歴史的なベストセラーでしょ? そこらの文芸作品よりも、はるかに売れて、はるかに多くの人に知られていますよね。でも、ドラクエをつくった堀井雄二さんの名前が、作品よりも前に出ることはほとんどない。


堀井雄二さんにかぎらず、テレビゲームをつくった人やゲームのシナリオを書いた人は、一般的にはほとんど、名前を知られていないでしょう? いつか「ドラクエ完全版」のようなものは出るかもしれないけど、「堀井雄二全集」のようなものは、おそらく出ないだろうと思うんです。なぜだか、つくり手の姿が見えなくなってしまうんだな。


(下線および太字線強調は管理人によるもの)






(以下管理人の戯言)

まず堀井雄二はマリオの宮本茂と並んで。ゲーム業界においては最も知名度が高いゲームデザイナーであると同時に、「ドラゴンクエスト」というタイトルにあっては欠かせない存在でもある。そう意味においては天野氏の「つくり手の姿が見えなくなってしまう」という指摘は、今となっては若干的を外れているかもしれない。

だが、それは「ドラゴンクエストの堀井雄二」という前置きがあってのことで、クリエイターとしての「堀井雄二」に対する評論は初代DQから30年近く経過した現在となっても今ひとつ少ないと言わざるをえないだろう。

要するにDQに関する情報といえば攻略あるいはシナリオ考察が主で、もっと創作背景や時代考察に焦点を当てた評論があっても良いと思ったのね。たとえば映画における黒澤明、漫画における手塚治虫、文学における夏目漱石とか、大衆文化の原点を生み出した存在なのだから、一個人としての堀井にもっとスポットライトが当てられてもいいと思う。考えてみれば、シリーズ累計で2000万本を超えているのだよ。作家だったら超大御所だろう。そろそろ本格的な評伝が待ち望まれる。というか私が待っているのだよ。

天野の発言に話を戻そう。DQリメイクがハードを改めて出ているし、今後も良いカモになる懐古厨のために当時の熱狂を味わっていないプレーヤーも参入できるように、幾度となくリメイクが繰り返されるとは思う。そういう意味で「ドラクエ完全版」は世に送り出されているといえる。まあ、いつになったら「完全」になるかは分かりませんが。嫁もどれだけ増えることやら。

さて、「堀井雄二全集」はどうだろうか。堀井に関する情報や発言を収集・分析し、彼の創作背景などをまとめて書籍として刊行される可能性はあるだろうか。本来であればスクウェア・エニックス社の役目である。テレビゲームの地位向上を担う重要な仕事であるが、大した利益にもならないだろうし、多分やらないだろうな。

そこで私が思い立って当ブログを立ち上げたわけである。堀井ら製作者の発言に加え、当時の新聞・雑誌記事を収集し、単なる懐古ネタにとどまらず、われらの時代における記念碑的存在としてドラゴンクエストを取り上げていきたい。


(2016年1月 管理人追記)

公開日は2015年2月となっているが、元々は2014年の夏頃に書いたエントリーである。DQの源流を探るために資料を集め始めた時期であり、良く言えば初期衝動に満ち溢れた、悪く言えば青臭さが滲みでた痛々しい文章だが、自分の根底にある方向性は変わっていないので、このまま残しておこうと思う。天野先生、引き合いにしてごめんなさい。

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