'87年7月 広告批評 特集ファミコン大研究 (2) 鳥山明 すぎやまこういち 中村光一 インタビュー



広告批評 '87年7月号 特集 ファミコン大研究

鳥山明、すぎやまこういち、中村光一インタビュー
 (要約)


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'87年7月 広告批評 特集ファミコン大研究 (1) 堀井雄二×糸井重里 対談 テレビゲームに何ができるか
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'87年7月 広告批評 特集ファミコン大研究 (2) 鳥山明 すぎやまこういち 中村光一 インタビュー
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'87年7月 広告批評 特集ファミコン大研究 (3) 高橋源一郎 鴻上尚史 いとうせいこう
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'88年3月 広告批評 堀井雄二インタビュー “もう一つの人生”の共同製作者です
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『広告批評』主宰者 天野祐吉が語るドラゴンクエスト
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鳥山明(ドラクエのキャラクターデザイン)


実は、まだ「ドラゴンクエストII」のほうは征服していないんですよ。一時あんまり夢中になりすぎて、原稿を落としそうになっちゃったことがあってね。担当者の人にも怒られるし、いま、押し入れの中にしまったままになってます。

今回、「II」のキャラクター・デザインで、特に大変だったことと言えば、とにかくやたらモンスターの種類が多かったことですね。描いたものが最終的にはコンピューター・グラフィックになるわけですけど、そっちの技術のことはよくわからないし、そのへんの処理はやりますからと言ってくれたんで、あまり気にせずに描きました。原画の微妙なタッチは出ないだろうな、ぐらいのつもりで。

もう、モンスターの名前は全部先に決まってたし、こいつにはこのワザが使える、というような、性格づけもほぼあったんです。あと、“木と人間の合いの子”ぐらいのラフ・スケッチはもらったから、考えるのは割合ラクでしたね。だいたい僕は、ストーリーがあるマンガを描くのが好きというより、絵を描くこと自体が大好きなんです。だから、モンスターを考えたりするのはすごく楽しかった。とは言っても、数が数ですから、いままでの自分のマンガの中で描いてきたものに、ちょっと似ちゃったものもあると思いますけれど。

抽象的なものは特に難しかったですね。“霧”とか“火”とか、リンカクのないもの。まあ、“モンスター”を作るわけですから、怖くなくちゃしょうがないんだけれど、やたら気持ち悪いだけというのもイヤですからね。オドロオドロしさの中にも、愛敬を持たせるようにしました。これは、自分のマンガの描き方と共通していることですけれど。実際のゲームも、ホントにそのへんうまく作ってくれたと思います。

ゲームのキャラクターを、自分のマンガに使うことはないです。というか、使いたいと思っても、一応著作権があって、他に出しちゃいけない。ただ、メインの登場人物にするとすぐバレちゃうだろうけど、遊び心で、群衆の中に混ぜて描いちゃったことがあるんです。だけど読者は目ざといですねえ、すぐ見つけられちゃいました。
いままで自分でプレイしたことがあるのは、「ゼビウス」「スパルタンX」それと「ドラゴンクエスト」ぐらいですね。ええ、そんなにはやっていないんです。ファミコンをやり始めて、ゲームの要素がマンガの中に入ってくるということは、無意識だけどあるかもしれません。いま『少年ジャンプ』に連載してる「ドラゴンボール」は、ずいぶん長く描いててコミックスも出てますけど、六巻あたりに出てくる敵の要塞は、主人公の悟空が敵の手下をやっつけながら、だんだん上の階へ上がっていって、最上階に敵の親分がいるというものなんです。そうだなあ、あれなんか、「スパルタンX」をやってた頃かもしれないですね。

「ドラゴンボール」自体もファミコン・ゲームになりました。でもあれはまあ、いわゆるゲームの“キャラクターもの”というやつで、自分の作ったマンガが動き出したって感じですけど、今度は知らない世界の怪物を作ってしまったわけで、また違う楽しさがありました。特に気に入ってるキャラクター、ですか? いやあ、どれが好きというより、ゲームやってて負けちゃうわけですよ、自分の作ったモンスターに。あれはホント、くやしいですね。せっかく作ってやったのにって。







すぎやまこういち(ドラクエの音楽)


ゲーム音楽には、根本的な規制がいろいろあるんですね。まず、同時に最大限三つの音、三声しか出せない。場所によっては二つです。言わば無伴奏三部合唱ですね。二つ、または三つの音で、メロディ、ハーモニー、リズムというすべてのことを表現しなければならない。それから、パソコンの場合は本体の中にFM音源が組み込まれてますから、同じ三声でも少し音的にいろいろできるんですけど、ファミコンの音源はPSG、プログラマブル・サウンド・ジェネレーターというある種のシンセサイザーで、これは音色的な変化があまりつけられないんです。

とは言っても、これは僕の信念なんですが、サウンドがどうあれ、いいものはいい。逆に、つまらないメロディは、サウンドをいくら凝ったって、やっぱりつまらないんです。いまは世の中サウンド志向で、やたら厚化粧の音楽が多いでしょ。ゲーム音楽はサウンド的な厚化粧がまったくできない分、メロディ自身のよさがストレートに問われるんです。ごまかしがきかない。だから逆に、作曲家としてものすごくやりがいのある、挑戦しがいのあるものですね。

「ドラゴンクエスト」はIもIIもオーケストラをつけてレコードを出して、そちらもずいぶん売れたんですよ。そういうふうにいいレコードができるというのはとてもうれしい。だけどやっぱりゲーム音楽の一番大事な基本は、ゲームそのままの状態でいい音楽でなければならないということですね。アレンジバージョンがいくらよくたって、ゲームの中で流れる音楽が貧弱じゃしようがない。

一番最初の打ち合わせで「このゲームはどういう世界ですか?」と中村君に聞いた。「言ってみれば、中世ヨーロッパです」「よし、わかった」。この出発点が一番大事だったと思いますね。その時点ではゲームは完成してなくて、一場面できたり、絵が一枚できるごとにそれを見せてもらって、曲を考えて…。だから、ただ横から音楽を付けるというだけじゃなく、制作スタッフとして、僕も進行に参加してやっていったわけです。






中村光一(ドラクエのプログラマー)


堀井さんは、昔は自分でパソコンゲームを作ってた人ですから、自分でプログラムも書けるんです。だから、コンピュータにできること、できないことをちゃんと考えて作ってくれるんで、そういう意味ではプログラム上の苦労はあまりありませんでした。ただ、情報量は多い。これはゲーム自身が進化しているからしょうがないんですけれど、どんどん多くなってますね。

ワールドが広いというのは、情報量が表す一つの単位があって、それがいくつ並んでいるかなんですが、マップの広さが「1」で100×100だったのが、「2」では256×256になった。この約65Kのデータ量を、約8分の1の8Kまで縮めたんです。

でも、ゲームは情報量が多けりゃいいってものでもないんですね。いまはいかに長くするかという傾向があるけれど、これからはいかに楽しませるかということが重要になってくる。そういう意味では、「ドラゴンクエスト2」は、若干大きすぎるんじゃないかという気もしてはいます。

その、面白いという内容も、これからはどんどん細分化して、良し悪しというより、好みの世界になっていくんじゃないか。その兆しはもう見えてます。というより、実際に作ってて感じる。「ドラゴンクエスト」の頃には、良し悪しの部分ですごく議論していたんですが、最近のゲーム作りにおける大議論というのは、結果的に見ればどっちに転んでも、ゲーム自体にはなんの影響もない部分なんです。自分たちの好みの問題で、すごい論争をしてるんですよ。だけどそれは、あくまでもいまのコンピュータ能力の限界を前提にしての話で、ハードの部分がもっと進化すれば解決される点もあると思いますから、そう悲観することもないかな、という気はしています。






(以下管理人)

何はさておき鳥山明です。シリーズを通してキャラクターデザインを担当していますが、彼がDQやテレビゲームについて語ることはほとんどないので、希少なインタビューだと思います。

さて「悟空が敵の手下をやっつけながら、だんだん上の階へ上がっていって、最上階に敵の親分がいる」という場面は、おそらくレッドリボン軍編のマッスルタワーのエピソードだと思われます。余談ですが、鳥山明はジャッキー・チェンの大ファンで、ジャッキー主演作のビデオを流しながらマンガを描いていたそうです。「スーパーマリオ」ではなく「スパルタンX」にハマった理由がお分かり頂けると思います。

ドラゴンボールにDQのキャラクターが出てくる場面というのも、おそらく鳥山マニアの方々にとっては常識かと思いますが、一応、記憶を頼りに探しましたよ。
悟空が参加する二度目の天下一武道会の予選です。モンスターの名称は伏せるので、みんなで探してみよう。



完全版8巻 145ページ




同149ページ




同上




同上



最後のコマにいるモンスターに気づいた人はどれくらいいるでしょうか。DQのキャラクターがそのままマンガに登場したわけではなくても、天下一武道会に出てくる「ギラン」と、DQ1の「竜王」のように、姿が似ているキャラもいます。あのミスター・ポポも、実はブラックマージだというウワサも……

鳥山明がDQのキャラクターデザインを手掛けるきっかけになったのは、担当編集者である鳥嶋和彦(Drマシリト)の「鳥山明に刺激を与えたい」という圧力後押しがあったからだそうです。だから、DBとDQが相互に影響し合うのは、マシリトの思惑通りだったのでしょう。仮に鳥山明がDQのキャラクターデザインを手がけていなかったら、DBも全く別の展開を見せていたかもしれませんね。

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